介護

2024年10月30日

療養病棟

父のカンジタはなかなか陰性にならなくて、強めの薬を使っているそうだ。
その間にも軽い誤嚥性肺炎になって熱が出たり…熱が高い日はぐったり目を閉じているのでもうダメなんじゃないかと思うけれど、微熱のときはこちらの話もわかって、うなずいたり微かに声を出すこともある。


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カンジタが治ればこの病棟にはいられない。病院のソーシャルワーカーさんと次について話をする。
この病院には療養病棟があるので、そこへ移るのが第1希望。母が通えるというのが1番の条件だ。
でも待機している人が何人もいるらしく、父が入る頃うまく空いているかはわからない。
提案してくれた隣の市の療養病院は、車なら10〜15分くらいだけれど公共交通機関がなく、タクシーも少ない実家の町から通うのは無理。
母が行きやすいところはなかなかないようで、頭が痛い。
カンジタが熱を出させるほどではなく陽性でいてくれたら、ずっと今の病棟にいられるのになぁなんて考えてしまう。


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父は口から食事が取れず、トイレも行けず"寝たきり"だ。
そして療養と言う名の、最期を待つ病棟へ移ることになる。厳密に言えば、この病棟は6ヶ月という期限があって、そのあとは退院して違う療養病院へ移るのだけれど。

大きな目をパッチリ開いて、まばたきもせず私を見つめる父。どんな気持ちでいるんだろう…パーキンソン病の影響で表情がほとんどないので、心の中は表情からは読めない。

できるなら少しボケてくれるといいなぁと思う。こんなことを思う私はダメな娘なんだろうか?
母は毎回「お父さん、ちゃんと私の言うことわかったよ」と報告してくるけれど、私はわからなくなってくれたらいいのにと思ってしまう。

生きるって大変だな。いや、死ぬって大変だ。


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2024年10月04日

普通に毎日を送る

少しずつ経口摂取ができるようになったので退院の打ち合わせの日時を決めることになったのに、その翌日から発熱してしまった父。
原因はカンジタ。カビの一種カンジタ菌は常在菌で、免疫力が低下すると発症するらしい。

39度出たときもあって、体力はかなり奪われた。意識はあって、こちらの言うことはわかってうなずくけれど、言葉にできるのはときどき。

経口摂取はもう難しそうなので、太い静脈から栄養を入れる承諾書にサインをする。
経口摂取ができないと老健施設に戻れない。静脈栄養をしてくれる老人ホームを紹介してもらうことになるらしいが、とりあえずはカンジタが陰性になって再発しないことだ。


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父のことを聞かれると「今日何かあっても、2か月もっても、どちらも驚かない」と答えている。

こんな感じだから、私は普通に毎日を送ることを心がけている。
まごちゃんに会いに東京にも行くし、琵琶湖も歩きに行く。友だちと遊ぶし、もちろんダンナとおいしいものを食べにも行く。ライブだって行く予定だ。
電話だけはいつでも出られるように、あと夜お酒は飲まないように、この2つだけ気にしてね。

それでも父の良い写真を探したり、お嫁ちゃんとまごちゃんが来てくれたとき泊まれるよう、ベビーベッドを貸し出してくれる実家近くのホテルを調べたり。
少しずつ準備をしなくてはいけないだろう。

普通に過ごすことが、私の安らぎにもなる。
父は今も、いつものようにベッドで眠っているだろうな。


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2024年09月21日

繋がる

昨日、なぎと手を繋ぐ話を書いた。
今日は父と繋がる話。


息子が出張のついでに父の面会に来てくれた。
30分と面会時間は限られているが、個室に移ることができたので静かにゆっくり会うことができる。


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息子にとって父はヒーロー。山へ川へ、いろんなところへ連れて行ってくれた遊びの師匠でもある。
「おじいちゃん、おじいちゃんが作った魚を捕まえる網の箱、まだ取ってあるよね?」
父は小さくうなずく。
「ぼくの赤ちゃん、おてんばさんになりそうだから使えるかもなぁと思って」
繋がっていく、楽しかった思い出。


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息子は面会中、父の手をずっと握っていた。帰り際、そんなふたりの手の上に私も手を重ねてみる。
父の手は血の巡りが悪いからかいつも冷たい。けれど息子の体温をもらった父の手は温かかった。
繋がる温もり、繋がる命。


新幹線の中でも車の中でも、家に着いてからも遅くまで仕事をしていた息子。忙しい中、本当にありがとう。
そして初めて2人でお留守番してくれたお嫁ちゃんとまごちゃん、ありがとね。


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2024年09月12日

"終末期状態"

父は元気がなくご飯を食べられなくなり、点滴をすると下痢も始まった。肺炎?高齢者の肺炎は、元気がないことと食欲がないことが兆候だ。下痢は脱水を起こす。
受診してほしいと施設から連絡。

遅くならないほうがいいということなので、仕事を休んで以前入院していた病院に連れて行く。

CT・血液・便の検査の結果、肺は肺炎ではなく水が少し溜まっていた。腸は特にこれというのはなく、肺も腸も簡単に言うと老衰。
食べられず栄養不良を起こしているので再入院することになった。


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いろんな書類の中に、蘇生処置をしない同意書があって、そこに『多臓器不全・老衰による終末期状態』と書かれていた。
初めて見た"終末期"という言葉はやっぱり心にガツンとくる。
帰り際の父は朝よりも元気で、大きな声で話し、力強く手を握ってくれた。


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施設に荷物を取りに行くと、何人か介護士さんが声を掛けてくれる。
ディサービスからずっとお世話になった職員の方に「今日は『お世話になりました』とは言いません」と言うと「そうですよ、部屋を空けて待ってますから」と笑って応えてくれた。


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2024年09月11日

大混乱の父

父のついて、備忘録の意味も込めて2回に分けて書きます。

         *

先週の火曜日、父の面会に行っていつものように話していたら突然「H(兄の名前)か?」と聞いてくる。「えっ?私?私はT。あなたの娘よ」
どうした?あの風貌と間違えるなんて失礼な!(笑)
「今日の午後、Hが来ることになっている」と言う。「へー、そうなの?出張のついでかな?」兄はとても忙しい人。
「じゃあ、お兄ちゃんによろしくね」と言って施設をあとにする。

帰宅途中、母から電話。実家に寄らなかったのでちょっと気まずい。
「お父さんから電話があって、今お兄ちゃんが来たって言うの。びっくりしてお兄ちゃんに電話したら東京だって言うし。施設に聞いたら娘さん夫婦が来たって」


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父はその2日後の木曜からご飯が食べられなくなって点滴が始まり、痰が絡んで吸引してもらうようになった。
肺炎気味かもしれないと施設から電話がくる。

兄に様子を連絡すると「日曜日からアメリカに出張なんだけど、やめたほうがいい感じか?」という返信。
その後も兄には珍しく何度も様子を聞いてくる。
「"俺が来た"というのが虫の知らせかもしれないから気になる」私も口には出さなかったけど、すごく気になってるんだよ。


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金曜日施設に行くと、ケアマネさんが「お兄さんが来るって話なんですけど…」と少し申し訳なさそうに事の顛末を話してくれた。
その日の朝、ダンナが面会時間の確認の電話をしていて、ダンナを兄と間違えた職員さんが父に「息子さんが来る」と伝えてしまったんだそう。

兄が来ると思っていたのに私たちが来たので、父の頭の中は大混乱してしまったのね。頭の中で訂正できなかったところは「うん?」だけど、気にしない気にしない。ドンマイ!ってことで(笑)

この話を兄に伝えると「なんだ、虫の知らせじゃなかったのか。じゃあ出張に行ってくる」と、兄はアメリカに旅立った。


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